環境に対する取り組み

JREはSDGsに賛同し、また世界的に高まる気候変動リスクへの対応を進める
ため、2030年度に向けたCO₂削減目標ほか環境関連のKPIを設定しました。
2030年度の達成に向け、社内外の協力を得て各種取り組みを実行していきます。

環境に対する取り組み 環境に対する取り組み

環境パフォーマンス

JREは、サステナビリティ方針「1. 気候変動への対応(脱炭素とレジリエンス)」及び「2. 水を含む資源の保全、資源循環への寄与」に基づき、不動産ポートフォリオの環境パフォーマンス向上を達成するため、エネルギー・温室効果ガス削減目標を設定しています。
JREの資産運用会社であるジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社では、不動産ポートフォリオのエネルギー効率向上を図るための運用方針を定めた「省エネルギーポリシー」と、脱炭素化を図るための運用方針を定めた「温室効果ガス排出削減ポリシー」に基づき、本目標を達成するため、ビルの運用改善、省エネ設備への更新、テナントへの省エネ啓発などの取り組みを実践していきます。

CO₂削減目標など、2030年度に向けたKPIの設定

JREは、昨今の世界的な気候変動リスクへの関心の高まりを受け、持続的な事業活動とそれを実現する事業戦略においても、温室効果ガスの削減を含む気候変動への対応は重要な経営課題の一つと認識しています。これまでもエネルギー・温室効果ガス削減に取り組み、その使用量は従前より低い水準にありますが、70棟を超える保有物件のCO₂排出量の削減の可能性についての検証を実施し、2030年度に向けた削減目標を制定しています。今後も、温室効果ガスの排出削減等の取り組みを通じた脱炭素社会の移行に貢献するとともに、気候変動に伴う自然災害等への適応に取り組んでいきます。

■その他関連情報:気候変動への取り組み

環境パフォーマンス実績

目標(KPI)
  • ポートフォリオのCO₂排出量を2030年度までに80%削減(2019年度基準)
  • ポートフォリオのCO₂原単位を2030年度までに12kg-CO₂/m²以下

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

2019年度
(基準年)
2020年度 2021年度 2022年度 増減率
(2019年度比)
CO₂ 排出量 総量 t-CO₂ 102,942 93,378 71,019 29,836 -71.02%
  スコープ1(燃料) t-CO₂ 3,208 3,304 3,011 2,786 -13.18%
スコープ2(電気・地域冷暖房)(マーケット基準) t-CO₂ 42,436 39,748 32,350 14,380 -66.11%
スコープ1+スコープ2 小計

2022年 SBTiより認定取得

t-CO₂ 45,645 43,052 35,361 17,166 -62.39%
スコープ3 ※カテゴリー:13
(テナント管理資産に係る燃料・電気・地域冷暖房)
t-CO₂ 57,297 50,326 35,658 12,670 -77.89%
原単位(スコープ1+スコープ2+スコープ3) kg-CO₂/m² 77.7 69.1 51.8 22.2 -71.47%
 
総エネルギー消費量 総量(スコープ1+スコープ2+スコープ3) MWh 246,064 231,097 226,719 223,673 -9.10%
原単位(スコープ1+スコープ2+スコープ3) MWh/m² 0.186 0.171 0.165 0.166 -10.51%
  燃料使用量 総量(スコープ1+スコープ3) MWh 22,466 22,874 22,190 19,717 -12.23%
原単位(スコープ1+スコープ3) MWh/m² 0.017 0.017 0.016 0.015 -13.60%
その他
熱消費量※1
総量(スコープ2+スコープ3 MWh 30,436 30,220 29,300 29,660 -2.55%
原単位(スコープ2+スコープ3) MWh/m² 0.023 0.022 0.021 0.022 -4.07%
電気使用量 総量(スコープ2+スコープ3) MWh 193,162 178,003 175,229 174,296 -9.77%
原単位(スコープ2+スコープ3) MWh/m² 0.146 0.132 0.128 0.130 -11.17%
原単位(スコープ2 MWh 79,728 75,818 73,773 73,903 -7.31%
原単位(スコープ3 MWh 113,434 102,185 101,456 100,393 -11.50%

DHC(地域冷暖房)からの購入量

目標(KPI)
  • 再生可能エネルギー由来の電力比率(スコープ2)90%(2030年度目標)/ 100%(2050年度目標)

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
スコープ2※2におけるRE100対応再生可能エネルギー由来の電力比率

2022年 RE100正式加盟

1.6 2.0 16.4 72.9
(参考)
スコープ2※2 +スコープ3※2におけるRE100対応再生可能エネルギー由来の電力比率
1.6 2.3 20.9 73.7

各スコープの電力が対象

目標(KPI)
  • ポートフォリオの水使用量を2030年度までに20%削減(2019年度基準)

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

2019年度
(基準年)
2020年度 2021年度 2022年度 増減率
(2019年度比)
水使用量 総量 886,256 655,641 645,753 689,740 -22.17%
原単位 m³/m² 0.669 0.485 0.471 0.513 -23.38%
目標(KPI)
  • ポートフォリオの廃棄物リサイクル率を2030年度までに90%以上とする

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

2019年度
(基準年)
2020年度 2021年度 2022年度
廃棄物排出量 総量 t 8,095 5,850 5,729 5,868
リサイクル量 t 4,540 3,248 3,170 3,229
リサイクル率※3 % 56.1 55.5 55.3 55.0

リサイクル量/廃棄物総量 により算定

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

2019年度
(基準年)
2020年度 2021年度 2022年度
データ把握率 CO₂排出量及びエネルギー量 100% 100% 100% 100%
水消費量 100% 100% 100% 100%
廃棄物量 100% 100% 100% 100%
  • 上記データは一部数値を精査したため、従来の公表データと異なっている部分があります。
  • 上記データは、原則として各年度の3月末日時点の保有物件すべてを対象としています。詳しい算定の基準は、「環境パフォーマンス実績/補足事項」を参照ください。

環境パフォーマンス実績/補足事項 [PDF] (249KB)

  • 上記表「環境パフォーマンス実績」のもととなる下記の「環境情報(詳細)」について、第三者機関(EY新日本有限責任監査法人)による限定的保証を受けています。

環境情報(詳細)PDF

第三者保証報告書

地球温暖化対策報告

本制度は、都内で中小規模事業所を所有または使用している事業者を対象に、各事業所のCO₂排出量と地球温暖化対策の状況を「地球温暖化対策報告書」として、東京都に報告する制度です。「地球温暖化対策報告書」の作成に取り組むことを通じて、各事業所のCO₂排出量を把握し、また、地球温暖化対策が継続的に実施されることを目的としています。

本制度により、同一事業者が都内に設置する複数の中小規模事業所の原油換算エネルギー使用量の合計値が3,000kL/年以上となる場合、報告書の提出および公表が義務付けられています。

JREでは、本制度に基づき、報告書を提出いたしましたので、下記に公表いたします。
2022年度は、JREの地球温暖化対策への取り組みが評価され、東京都環境局より地球温暖化対策優良事業者(2022年度SS★ランク)として認定されました。
地球温暖化対策報告書制度

地球温暖化対策優良事業者(2022年度SS★ランク) 地球温暖化対策優良事業者(2022年度SS★ランク)

また、JREでは、東京都の総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)にも取り組んでいます。

東京都環境局(削減実績)

キャップ&トレード対象ビル一覧

EMS(環境マネジメントシステム)について

1. 正確なデータ把握とPDCAサイクル

JREでは各ビルの消費エネルギー、水使用量、廃棄物量を月次で計量・把握、EMS専門の企業に集計・分析を外部委託しPDCAサイクルを実行しています。集計された各種データは対前月・前年比等で大きな差異があればプロパティ・マネジャーへのヒアリングを行う等原因分析を行い、データの正確性を追求します。また環境関連工事(LED化・空調改修)による削減効果についても常にモニター実施しています。
このような社内のモニタリング基準により適切に把握・集計されたデータのうち「環境情報(詳細)」に記載したデータは、独立した保証業務実施機関からのISAE3000(International Standard on Assurance Engagements/国際保証業務基準)に基づく第三者保証を得ています。

2. 月次ベースでのデータ入力と分析・フィードバック

JRE-AMではEMSで集計した環境データおよび各種指標のサマリーは業績データと同様に重要な指標として認識しており、月次ベースでサステナビリティに関する最高責任者(代表取締役社長)まで報告されます。
これは単なる書類の回覧ではなく、実際の会議体において分析と併せて報告を実施し、提供された指標は今後の各物件ごとのマネジメントやCAPEX投資などを実施していく上での重要な判断要素の一部となっています。

環境データのPDCAサイクル

環境データのPDCAサイクル

不動産投資・運用を通じた環境への貢献

取得時におけるESG評価基準の導入

JREでは、物件取得時のビルの評価において、立地やビルのスペックといった従来からの評価基準に加え、ビルのESG(Environment、Social、Governance)対応を新たな評価基準として追加しました。

ビルのESG対応に係る評価基準
  • グリーンビルディング認証の取得
  • CO₂ 排出量等の環境性能

上記フレームワークの構築にあたっては、CSRデザイン環境投資顧問株式会社よりセカンドパーティー・オピニオンを取得しています。
詳細についてはこちらをご覧ください。

不動産投資のプロセス

取得時における環境リスク評価

JREでは、不動産取得にあたって、現地調査や売主からの開示資料に加えて不動産鑑定評価書、エンジニアリング・レポート等を取得し、土壌汚染、アスベストやPCB等の有害物質に係る調査を実施しています。

再開発における環境配慮

スポンサーの三菱地所は、自然エネルギー利用や先進的な省エネ技術を積極的に採用した開発を進めています。JREは三菱地所グループとともに、持続可能なまちづくりを推進しています。三菱地所ではグループSustainable Development Goals 2030のもと土壌汚染などの環境法令の遵守を徹底する等環境に配慮しています。

事例紹介 
グランフロント大阪

JREが2021年10月に取得したグランフロント大阪(北館)・グランフロント大阪(うめきた広場‧南館)では土壌汚染等の問題のある土地に対して対策を行ったことを確認したうえで、物件の取得を行っています。 本物件が位置する⼤阪駅北地区は 7 駅 12 路線が集結する⻄⽇本最⼤のターミナルです。 本物件は、JR「⼤阪駅」にペデストリアンデッキで直結しており、また阪急・阪神・地下鉄各線「梅⽥駅」へも⾄近であり、⾮常に⾼い交通利便性を有しています。環境面では先進の制震構造を採⽤した⾼い耐震性能により⾼い安全性を実現しつつ、屋上及び街区の緑化・⽔景等、複数街区⼀体として⽔と緑のネットワークを構築しています。

事例紹介

また、⾃然換気・⾼効率熱源・太陽光発電等、実効性の⾼い省 CO₂技術を採⽤すると共に、各ビルに導⼊されている BEMS (Building Energy Management System)をネットワーク化することにより、物件全体のエネルギー消費を⼀元管理しています。更に TMO(タウンマネジメントオーガニゼーション)と称するしくみにより、まち全体を対象とした省 CO₂のマネジメントを展開し低炭素社会の実現を図っています。 このように本物件は「サステナブル社会の実現をリードする環境ショーケース」として、国 ⼟交通省が実施する「住宅・建築物省CO₂ 先導モデル事業」に採択されています。

事例紹介

都市緑地・生物多様性への配慮

JREでは、サステナビリティ方針において「生物多様性と生態系の保全を図ることに寄与する」ことを定めています。保有ビルの運用においては、敷地内あるいは隣接する都市内緑地・自然地の保全・生態系の改善を図ることを通じて、生物多様性への配慮に取り組んでいます。

なお、JREは新規開発プロジェクトへの投資は行いませんが、スポンサーである三菱地所では、開発時において「いきもの共生事業所認証(ABINC 認証)」「SITES認証」などの認証制度を活用した、持続可能な土地利用に取り組んでいます。
三菱地所の取り組みはWEBサイトをご参照ください。

大手町パークビルディング 
環境配慮・生物多様性推進の取り組み

大手町パークビルディングでは皇居近傍の地において生物多様性に配慮した樹種構成、巣箱、多孔質の石垣、水景等、多様な生物の住処を創出しています。スポンサーである三菱地所を中心に皇居近傍の生物多様性ネットワークを「見える化」し、質の高い緑地管理や環境意識の啓発に向けて情報集積発信するため、清掃及び植栽維持管理業務の一環での「生き物モニタリング」や、市民参加型イベントとしての「生き物モニタリング」を実施しています。

同広場における生物多様性保全に関する取り組み内容が評価され、公益財団法人都市緑化機構の「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)つくる緑」、一般社団法人 いきもの共生事業推進協議会(ABINC)の「いきもの共生事業所認証(ABINC 認証)[都市・SC 版]」を取得しています。

さらに、この「ホトリア広場」は2023年「自然共生サイト」に認定されました。
詳細はこちらをご覧ください。

ホトリア広場

ホトリア広場

生物の住処にもなる水景

生物の住処にもなる水景

省資源・高効率・低環境負荷に資する設備への投資

JREでは、環境負荷軽減につながる保有ビルの設備改修工事を計画に基づいて着実に実施しています。

※下記の表は横にスクロールしてご覧ください

工事内容 対象ビル 期間 省エネの効果 CO₂ 削減効果 備考
照明器具更新工事
(LED化)
NHK広島放送
センタービル
2016年〜2017年 ▲189.9 MWh/年 ▲32% ▲136.5 tCO₂/年 仕様値ベース
での試算
照明器具更新工事
(LED化)
金沢パークビル 2017年〜2019年 ▲969.8 MWh/年 ▲28% ▲587.4 tCO₂/年 仕様値ベース
での試算
空調設備更新工事 JRE西新宿テラス 2016年〜2018年 ▲173.8 MWh/年 ▲22% ▲63.7 tCO₂/年 仕様値ベース
での試算

省資源・高効率・低環境負荷に資する設備への投資

省資源・高効率・低環境負荷に資する設備への投資

※写真はJRE芝二丁目大門ビルの改修事例です。

再生可能エネルギーの積極的な導入

再生可能エネルギー由来電力への切り替え

JREは、保有ビルの電力をRE100対応の再生可能エネルギー由来(以下、再エネ電力)に随時切り替えを進めています。これにより、ビルとしてのCO₂排出はテナント使用分も含めてゼロになります。JREが100%所有し、JREのみで意思決定が完結する物件全てにおいて、一旦2022年9月末までに切り替えが完了しました。その他のビルにおいても、積極的に再エネ電力の導入を進めていきます。

企業が事業で使用する電気を100%再生可能エネルギーとすることにコミットする協働イニシアティブ。

再生可能エネルギー由来電力への切り替え 再生可能エネルギー由来電力への切り替え

JREが推進する再生可能エネルギー由来電力への切り替え(イメージ) 

JREが推進する再生可能エネルギー由来電力への切り替え(イメージ)

敷地内太陽光発電による再生可能エネルギーの活用

JREが保有する一部のオフィスビル(大手町パークビルディング、the ARGYLE aoyama、新宿フロントタワー、豊洲フォレシア、豊洲フロント、グランフロント大阪(北館)、グランフロント大阪(うめきた広場‧南館))において、敷地内太陽光発電による再生可能エネルギーの活用を行い、CO₂削減を図っています。

大手町パークビルディング

大手町パークビルディング

大手町パークビルディング

水のリユース・リサイクル

JREが所有する一部のオフィスビルでは、雨水や中水の再利用設備を備えており、上水の使用量削減に取り組んでいます。

テナントと協働した環境貢献

JREでは、テナントと協働した環境貢献を目指し、運用および設備改修の両面からグリーンリースの導入を順次実施していきます。
また、JREは、テナントと一体となってサステナビリティ関連の取り組みを推進すべく、様々な活動を行っています。

取り組み事例
  • サステナビリティガイドの配布
    サステナビリティガイドの内容はこちらをご覧ください。
  • テナントも参加する地球温暖化対策協議会の実施
  • テナントがそれぞれのエネルギー使用量をインターネット上
    で確認できるシステムを導入
  • 環境対策強化月間等における省エネ呼びかけ活動

取引先との協働

グリーン調達ポリシー

JRE-AMでは、「サステナビリティ方針」に掲げられた個別項目を実践するためのポリシーの1つとして「グリーン調達ポリシー」を制定しています。本ポリシーは、調達する製品等の選定基準、およびサプライヤーの選定・評価基準に係る指針であり、サプライチェーンにおけるサステナビリティ配慮の取り組みを推進しています。

PM会社選定基準・評価の取り組み

JREでは、物件の管理を委託するPM会社の選定基準等を定めるとともに、原則として年に1回すべてのPM会社の評価を行っています。評価にあたっては、ビル管理能力、営繕工事能力等に係る項目に加え、業務における環境配慮状況、従業員の労働安全衛生、資産運用会社が定めるサステナビリティ方針への理解・協力といった点も考慮しています。
また、あわせて運営におけるエネルギー削減策など環境負荷低減につながる提案を求める等、改善努力を協力して行っています。

その他の取り組み

JREでは、「サンプリング省エネ診断」を専門会社に委託して実施し、省エネルギー対応の現状把握と今後の方針策定に役立てることとしています。