社会に対する取り組み
JRE及びJRE-AMでは、投資家、JRE-AMの従業員、テナント、サプライヤー、地域コミュニティ等、あらゆるステークホルダーと対話し、その期待に応えるよう努めることを社会配慮への基本的な考え方としています。
JRE及びJRE-AMでは、投資家、JRE-AMの従業員、テナント、サプライヤー、地域コミュニティ等、あらゆるステークホルダーと対話し、その期待に応えるよう努めることを社会配慮への基本的な考え方としています。
国土交通省が2023年3月に公表した『「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンス』では、「ヒト(利活用者)、地域(周辺の土地や地域社会)、地球(地球環境)を巡る様々な課題解決に貢献することで、「社会的インパクト」を創出し、地球環境保全も含めた社会の価値創造に貢献するとともに、不動産の価値向上と企業の持続的成長を図ることが期待されている」、このような不動産であると定義しました。
「社会的インパクト」とは、取り組みの結果として生じた最終的な変化・効果のうち、社会的な効果を有するものです。
JREでは「社会的インパクト不動産」に係る様々な取り組みを実践することで、不動産による社会価値向上・社会課題解消に取り組むとともに、「マーケットに選ばれるオフィス」の実現を図っています。
国土交通省『「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンス』(2023年3月)より
皇居外苑に面した大手門タワー・JXビルと大手町パークビルディングの敷地をつなぐオープンスペースである「ホトリア広場」は2024年に国土交通省認定の市民緑地化認定制度を活用し、ベンチ・植栽の整備を行いました。従前から大手町の歴史的景観や皇居外苑の自然環境を尊重し、地歴の読み解きや生態調査などを踏まえた検証などから導いた論理的な方向性をもとに、生物多様性を育む環境と来街者・オフィスワーカーのアクティビティをトータルに捉えた空間としてデザインし、魅力的な「ホトリア広場」を創出していましたが、今般ベンチの増設、植栽の追加、壁面緑化の整備によりコミュニティ交流を更に広げる空間づくりを行いました。
また、皇居外苑濠の水質浄化に貢献する施設の整備や、生物の生息環境を維持するための参加型取組みを積極的に導入するなど、環境共生型のコミュニティ交流が実践されており、いわば日本の伝統的なパブリックマインドに根ざした都市空間をフィールドとした新たな試みも行っています。
<ベンチの増設によりコミュニティ交流が活性化>
<ホトリア広場の生物多様性を育む環境>
JRE神田小川町ビルでは、エントランスを温かみのある天然木材を用いてリニューアルしました。更に、トイレの水栓機器はすべて古いものから入れ替えることで40%以上の節水効果を得ています(2024年10月と2023年10月の同月比)。テナント共用部については利用者が気持ちよく使用できることを考慮した設計、非接触機器や抗ウィルス素材で安全性を向上させ、テナント従業員のウェルネス向上を実現しています。リニューアル後、入居テナントより「ビルの雰囲気が大きく変わり、働きやすさが向上した」等の声が多く寄せられています。
<外観>
<基準階トイレ>
<エレベーターホール>
JRE天神三丁目ビルでは、健康増進法を契機に捉え、2~8階の各階エレベーターの横に設置されていた共用部喫煙室の完全撤去を行いました。喫煙室やその周辺に発生しやすい煙やタバコ臭がなくなることで、より清潔で快適なオフィス環境を提供し、これによりテナント従業員の働きやすさが向上しました。更に、喫煙室がない環境においては喫煙の機会が減る為、喫煙者が禁煙を考えるきっかけにもなり、結果的にテナント従業員の健康と快適性向上にもつながっています。
<従前の共用部喫煙室>
<共用部喫煙室撤去後>
MMパークビルでは、エントランス、空室区画にエコファニによるリユース家具を設置しセットアップオフィスを作り、リーシング活動に活用しています。新品と比較してリーズナブルな価格でリユース品を提供することで、オフィス什器の費用を抑えつつ質の高いオフィスを作りたいという顧客企業のニーズに応えるこの取り組みは「ものを捨てない社会づくり」の実現、サーキュラーエコノミー、廃棄物削減活動にもつながっています。
<エコファニによるセットアップオフィス>
「エコファニ」は、リユース家具の引き取り・販売を行うビジネスで、三菱地所グループの社員から広く事業提案やアイデアを募集する「新事業提案制度」により生まれたサービスです。オフィスのレイアウト変更等に伴い、まだ使えるオフィス家具の多くが、やむを得ず処分される状況を目の当たりにした社員が、問題意識をもとに、資源の有効活用とオフィステナント向けソリューションを両立するサービスとして企画・立案・事業化されました。
参考:エコファニ
金沢パークビルでは4階ロビーを改装し、打合せや仕事、食事等ができるスペースを設け、テナント従業員の多様な働き方を支援しています。ロビーにはこれまで待合用のソファやテーブル、椅子などを置いていましたが、一人用のソファやコンセント付きの机などを新たに設け、より過ごしやすい空間づくりを行いました。改装後、入居テナントからは「解放感のある吹き抜けロビーが更に快適な空間となり、従業員のウェルネスが向上し、生産性向上にもつながっている」という声が多数あがっています。更に、来客対応にも積極的に使用する場面が増えており、お客様との商談の機会にも快適なスペースとして活用されています。4階以外のフロアにおいても同様の改装を希望する声が多くのテナントから寄せられています。
<4階吹抜ロビー⼯事完了後>
金沢パークビルでは入居テナント主催で1~2階のエントランスホール、2階会議室を活用し、「口と足で表現する世界の芸術家たち」というテーマで絵画展を行いました。さまざまな理由で両腕の自由を失った世界各国の画家たちが口や足に筆をとり修練を重ねて描いた絵画を紹介するイベントで、当日は手に障がいのある国内外の画家の作品約50点が展示されました。JREは、保有するビルにおいてこうしたイベントを開催することを通じて、鑑賞いただいた皆様とハンディキャップを持つ方々との懸け橋の一助になることを願っています。来場者からは「大変素晴らしいイベントであり、今後もエントランスを活用してこのようなイベントの開催を継続して行って欲しい」、「自社で企画したイベントを1階エントランホールを使用して行いたい」などの要望もあがっており、コミュニティの活性化にもつながっています。
豊洲フォレシアでは災害時の就業者支援を目的に、災害時に敷地スペースを確保することで、フードトラック駆けつけ隊が機動的に炊き出しを実施できる体制を構築しています。
フードトラック駆けつけ隊とは、豊洲フォレシアで現在キッチンカーを出店している㈱Mellowとフードトラック事業者で構成される一般社団法人であり、災害時の炊き出し実施について各市町村と協定を締結の上、災害時対応を行っている団体です。災害時には、電気・水道・ガスなどのライフラインが使えず、非常食等の簡易的な食事が続くことも想定されますが、避難された方々に、キッチンカーによる温かく美味しい食事を提供することで、災害時の食料不足の解消や、食事の質の向上に備えています。
JREでは各ビルのテナントの満足度とサステナビリティを高めるため様々な取り組みを実施しています。
テナントとの賃貸借契約にグリーンリース条項の組み込みを推進し、テナントと協働で環境負荷の低減に取り組んでいます。グリーンリース条項には、環境パフォーマンスの向上に取り組むこと、エネルギー、水等消費量データの共有、改修工事において発生する廃棄物量の削減、省エネおよび環境へ配慮した設備、資材等の使用に努めること等について定めています。
更に、グリーンリースを活用した環境関連工事の実施を推進しており、実施の際は、コスト分担条項を組み込むことで、工事によってテナントが享受した電気使用料削減分の一部をグリーンリース料として一定期間還元してもらい経済的利益配分の適正化を図る等、ビルオーナー・テナント双方が光熱費削減等の恩恵を受け、Win-Winの関係を実現しています。
専有室内照明のLED化工事をオーナーの費用負担で実施し、テナントが享受した電気使用料削減分の一部をグリーンリース料として一定期間還元してもらい経済的利益配分の適正化を図りました。テナントはグリーンリース料を支払ったとしてもそれ以上の光熱費削減効果が得られる為、テナント・オーナー双方が経済的利益を受けます。また、実際にテナントとの交渉窓口となりスキームの説明やグリーンリース料収受業務を行うPM会社には、インセンティブ報酬を支払うこととし、テナント・オーナー・PM会社の3者がWin-Winとなる仕組みを構築しました。投資回収を図り不動産価値が向上するオーナー・電気料が削減され執務環境が向上するテナント・報酬を収受できるPM会社と関係者においてWin-Winの関係を構築しながら、CO₂排出量削減による物件の環境性能向上も実現できた事例です。
金沢パークビル
顧客の高い満足度とサステナブルなビルの実現の為に満足度調査を実施しています。
エネルギー、水使用量、廃棄物等のデータをテナント宛てにフィードバックしています。
また独自のシステムによるオンラインでのフィードバックやサービス実施を推進しています。
JREでは各物件ごとのサステナビリティの取り組みを調査・分析しています。具体的には世界的な不動産のサステナビリティ認証であるGRESB設問を中心にビル毎にサステナビリティに関するアンケートを実施し、取り組み状況を全てデータ化し分析を行います。
収集・分析したデータについては、全てのPM会社と面談によりフィードバックを実施しています。
JREではテナントや来館者の皆様の窓口となるプロパティ・マネジャーがサステナビリティの知識・意識を高めることで、ポートフォリオ全体のサステナビリティをより良いものにすると考えます。
JREでは、共同事業者の皆様やプロパティ・マネジャーの皆様等、ポートフォリオに関係するステークホルダーの皆様を招待してESGセミナーを開催しています。外部よりESG専門家の講師を招聘し、グローバルなESGの潮流やGRESB、ZEBと言った専門領域までカバーしています。
JREのみならず、関係各位のサステナビリティに対する意識を高めて頂くことで、それぞれの物件における取り組みがより良いものとなると考えています。
写真は2019年5月開催時。2024年はオンラインにて150名近いステークホルダーの皆様にご参加いただきました。
JREは、ビルの運営管理に活かすことを目的として、テナント満足度調査を随時実施しています。
JRE芝二丁目大門ビルでは、中⻑期的に選ばれるオフィスを⽬指し、セントラル空調から個別空調への切替、より⾼効率な空調設備への更新、館内照明のLED化、トイレ・給湯室のリニューアル、各室のカードセキュリティ導⼊等の改修⼯事を実施しました。
結果、⼊居テナントが対象の「ビル管理の満⾜度調査」で、満⾜度が⼤きく上昇しました。
JREはテナントの安全・健康に資する取り組みを積極的に行っています。
特に記載のない取り組みについては、原則として全物件を対象に実施しています(一部共有物件等は除く)
JREは、地域コミュニティに関与する様々な活動に取り組み、地域社会に貢献しています。また、これらの取り組みを通じて、地元自治体、周辺住民、施設利用者等の様々なステークホルダーと相互のコミュニケーションを図っています。
JREは、日本全国の主要都市に位置するオフィスビルへの投資・運用の一環として、都市域の再開発や活性化といった地域のまちづくりに関する課題に取り組んでいます。デベロッパーであるスポンサー、行政や地域協議会、テナントといった地域のステークホルダーとの協働を通じた都市の持続可能な発展に貢献することで、保有ポートフォリオの長期的な価値向上を図っています。
JREが2021年10月に取得したグランフロント大阪では、知を生み出す場としてナレッジキャピタルを構築し、研究者、クリエイター、事業者などナレッジワーカーのワークスペースに教育機能を併設した「ナレッジオフィススペース」や先端技術と感性の融合から生まれた新しいライフスタイルを展示する「フューチャーライフショールーム」などが開発されました。北館の中心に位置する「ナレッジプラザ」は、“まち”のシンボル空間であり、「ナレッジキャピタル」と連携したイベントやプレゼンテーションなどが行われ、賑わいと交流をもたらしています。
さらに、グランフロント大阪の一体的なまちの運営を行う、一般社団法人グランフロント大阪TMOが設立されたことで、"まち"の在住者、在勤者、来街者とともに"まち"を育てる参加型のまちづくりを推進し、日々足を運びたくなる賑わいと活気を創出しています。
2019年に竣工・開業している「リンクスクエア新宿」はJR新宿駅デッキ直結、新宿・代々⽊・千駄ヶ⾕をつなぐ回遊の拠点として新たな賑わいの創出に寄与しています。これは2013年8月、竣工後39年が経過(売却当時)していた旧「日本ブランズウィックビル」について、建物を三菱地所宛に売却し、土地については同社宛の定期借地権を設定して⼤規模複合再開発を行った経緯があります。
標題プロジェクトでは明治通り沿道の旧耐震基準の老朽化建物3棟((旧)新宿パークビル・(旧)日本製粉本社ビル・(旧)日本ブランズウィックビル)を1棟のビルに建替え、地上16階建てのオフィス・商業施設・地域貢献施設等からなる複合施設へと整備し、地域防災機能の強化を図ると共に同エリア全体における魅力向上に貢献しています。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
仙台駅北側に位置する「AER(アエル)」については、仙台駅北部第一南地区第二種市街地再開発事業として開発され1998年に竣工・開業していますが、同エリアの再開発に合わせ、仙台駅北部の東西を結ぶ宮城野橋(元寺小路福室線)と併せての再開発として計画された経緯があります。
2017年3月、市民の長年の念願であった宮城野橋が開通となり、JREでは「宮城野橋渡り初め」等の行事にも協力をしています。
JRE青山クリスタルビルの位置する北青山地区においては、隣接地である旧「都営青山北町アパート」跡地・約4ヘクタールの再開発が進んでいます。
事業の目的は、「都営住宅を高層・集約化して建て替えるとともに、低層部に保育園と児童施設を併設し、児童遊園を整備する。また、創出用地を活用して、民間活力等をいかしつつ、青山通り沿道との一体的なまちづくりを段階的に推進し、周辺の豊かなにぎわい・文化・緑をつなぐ最先端の文化・流行の発信拠点を形成する。加えて、にぎわいや良好な環境を維持し、まちの価値を高めるエリアマネジメントも実施する。」(東京都都市整備局HP)となっています。
JRE-AMでは「青山まちづくり協議会」に参加、地域の一員として「青山通り周辺地区まちづくりガイドライン」の制定、また地区計画の制定等の議論に参加し、地域への貢献をしています。
東京エリアの保有ビルでは、東京都の「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」に基づき、都市の魅力を高め、地域を活性化することに繋がるテナント誘致戦略を採用しています。
TIXTOWER UENOでは地域の特性に合わせた店舗の設置や教育事業を行うテナントを誘致し、地域の雰囲気を残した下町らしい賑わいの形成や、地域コミュニティにとって利便性の高い都市機能の充実に取り組んでいます。
汐留ビルディングでは、3階に産業支援施設「プライベートオフィスゾーン」を設置。サービスオフィス事業を行うテナントを誘致し、また小規模なオフィスニーズにも対応することで、次世代のイノベーションを担う新たな産業・ビジネスの育成を支援しています。
以上の他にも、JREでは、品川区主催の景観計画に関する会合、みなとみらい21街づくりに関する協議会、大阪ダイヤモンドシティ協議会、金沢市駅西開発協議会といった街づくりに係わる会議体に参加し、地域の街づくりを通じた地域コミュニティとの交流を実施しています。
赤坂パークビル等では災害時の帰宅困難者受け入れ体制を構築し、また大手町フィナンシャルシティでは千代田区との災害時における帰宅困難者等受入協定を締結しています。加えて、金沢パークビルでは防災井戸の設置を行うほか、三菱UFJ信託銀行本店ビル等では地域防災訓練に参加するなど、様々な活動を通じて、災害時に頼れるビルとして地域に貢献しています。
汐留ビルでは地域の夏祭りへの協賛、場所提供、人的支援を行い、JRE東二番丁スクエアや東京オペラシティでは公開空地や共用部を活用した地域音楽イベントの定期開催を行うほか、多くの文化施設を抱える東京オペラシティにおいて様々な芸術文化活動に協賛する等、JREでは幅広いイベントへの支援を通じた地域活性化貢献・芸術文化活動支援を行っています。
更に、リットシティでは、Jリーグに加盟する地元のプロサッカークラブである「ファジアーノ岡山」への協賛を行う等、地域グループ活動への支援という形でも地域活性化を後押ししています。
赤坂パークビルではゴミ拾いをスポーツとして取り組む「スポGOMI」イベントを開催し、入居するテナント企業とPM会社、オーナーが協働で地域の環境美化、参加者の健康促進、地域コミュニティの絆強化に取り組んでいます。「スポGOMI」は制限時間内にチームワークを発揮してゴミを拾い、ゴミの質と量でポイントを競い合う「スポーツ」で、従来型のゴミ拾いと異なり参加者が楽しめる社会貢献活動です。
北の丸スクエアでは自転車のシェアサービスである「コミュニティサイクル」への設置スペース(サイクルポート)を提供し、CO₂排出量の削減等を通じた地域の環境に貢献しています。
また、JRE芝二丁目大門ビルでは、日本赤十字社が実施する献血活動に対して敷地の一部を提供する等、地域の医療・健康に関しても貢献しています。